指先から放たれた矢は、ストン、と軽快
な音を立てて、的の中心に一寸の狂いも
なく刺さった。



一瞬の静寂が辺りを包んだ後で、「きゃ
ーっ!カッコいいー!」という女の子達
の黄色い声援が聞こえてくる。



そんなに騒ぐ程の事でもないのに……。



これだけのことで"カッコいい"だなんて
、この年頃の女子は単純なのかな。……
いや、私だって女子だけども。



そんな風に思っていると、



「まーた嫌味なくらい綺麗にキメるなぁ
、お前って奴は」



呆れたような声と共に、苦笑いを浮かべ
た男の人がやって来た。



「先輩」

「お前がそうやってそこらの男子よりも
カッコいいから、女子の人気全部持って
かれちゃってんだけど」



むぅ、と頬を膨らませながらそう言う先
輩に、冷たい視線を送る。