「用件はそれだけですか?なら連れを離してください。死にそうです」 宮野は渋々昴を離した。 昴はふらふらと捕まれた左肩をおさえ、死にそうな顔で壁に寄りかかる。 「…船で不審な行動は控えるように。 夕食バイキングはもうすぐだ。そろそろ夜も更ける、おとなしく部屋に帰りなさい」 「ご忠告、誠に感謝いたします」 想汰は棒読みで頭を下げ、その場を去る。 最後まで疑わしげな宮野の視線が亜希子には痛かったが、昴と想汰は振り向くことなく歩を進めた(昴の場合は痛みでそれどころではなかった)。