「なんだこれ…」
「想汰さんの誕生日って、一月二日なんだね。なんか……惜しいね」
「なんでお前が俺の誕生日知ってるんだ」
昴はポケットから紺色の手帳を取り出す。
左下に『R.K』と走り書きされていた。
「退院してから、結海の遺品整理してたら見つけてね。想汰さんだけじゃないよ、水谷や亜希子ちゃん…他にも知らない名前の人も。たぶん結海の友達だろうね」
「…俺は神崎にも誕生日教えた覚えはない」
「からかわれるだろうからね。想汰さんさ、誕生日プレゼントがお年玉って、理不尽なことよく言われなかった?」
「言われ続けた」
想汰は子供の頃を思い出してるのか、チッと舌打ちし空になった紙コップを握りつぶす。


