ひとしきり笑ったあと、昴は想汰にある例え話をする。
「ねぇ想汰さん。悪魔の証明って知ってる?」
「…ん?ああ…。一種の言葉遊びだろ?」
悪魔はいると証明するのは簡単だ。
実際に会って、『いる』と証明すればいい。
しかし『いない』ことを証明することは容易ではない。
なぜなら『いない』ことを証明するために悪魔を探さなければならないのだ。
いるのかすら曖昧な生物をはっきり『いない』と証明するために。
「想汰さんは、『いる』ということを自分の目で確かめて証明した。
それでいいじゃないか。誰もその存在を否定できない。もちろん肯定も。
そんなものさ…その人の気持ち次第だと思うんだ」
自戒の意味も込めてね、と困ったように笑う昴を、想汰はポカンとした顔で見つめた。


