想汰はテラスの外を眺めながら、忌々しそうに舌打ちする。 「幽霊は存在しない、それが俺の持論だった。 けれど今回の船での騒動で、俺はじかに船幽霊を見た。 俺が幽霊を見たという承認になってしまった。 幽霊はいるという持論に作り直さなければならない…」 ぶつぶつと呟く想汰に、昴は虚をつかれたような表情をしたあとプッと吹き出す。 「……なに笑ってんだ。雪に顔沈めるぞ」 「ふふ、いや、ごめん。想汰さんが変な顔をしてたから…」