スッ…と結海の腕が昴から離れる。 後ろ向きに歩きながら、結海はどんどん遠退いていく。 昴は慌てて追いかけた。 だが、足が地面に縫いついてしまったように動かない。 『ねぇ…昴知ってる? 人はね、二回死ぬの。 ひとつは、肉体的な死。命がなくなってしまうこと。 ふたつは、存在の死。人の記憶から、なくなってしまうこと。 私は、死んでしまったけど、あなたが私を忘れなければ、私は生き続けるの』