「聞こえてるか、バカ。早く起きろ。もう一人のバカがもっとうるさくなる」 水谷にとっては非常に殴りたくなる言葉だったが、今の水谷にはそんな気力はない。 取り残された宮野が無線で救助をする声がする。 もし彼がそれまで目を覚まさなかったら、もし手遅れだったら。 そんな思いが胸中を包み、それだけで水谷は罪悪感に押し潰されそうになる。 彼はまた、大切な人をこの海で失うことになるのか。 あくまで傍観者を貫く想汰も、さすがに焦りを感じていた。