「水谷さん!」 一番最初に声をあげたのは亜希子だ。 彼はその声にこちらを向き安堵したような混乱したような微妙な表情を浮か べる。 ボートの上に乗り上げ、水谷はぐったりと動かない昴を仰向けにさせた。 げほっげほっと体に入った海水やらなにやらを吐き出す。 しまいには鼻水や涙まで出てきて鼻の奥がツンと苦しくなった。 「よく助かったな。ロープなしで」 冬の海を漂っていたせいでガチガチと震える水谷に自身の上着を投げ掛ける想汰。