ふと、引っ張る力がなくなった。 「!?」 想汰は珍しく狼狽し、一気にロープを海面に引く。 海面に浮かび上がったロープは、何も繋いでいなかった。 がくりと亜希子が膝をつく。 大きく見開かれた瞳から、ポロ…ポロ…と透明な雫が垂れ落ちた。 「…昴さん、」 「チッ…あのバカ。命綱だって言っただろうが」 いざとなったら水谷なんて見捨てればいいものを。 しかしそれができないのが彼だ。 想汰はもう一度、本日何度めになるかわからない舌打ちをした。