意識を飛ばさないために、水谷は自分の腕に爪を立てた。

ブヂュと水でふけた皮膚は簡単に傷を作る。
皮膚が剥かれる痛みと呼吸困難の苦痛に、水谷はどうにか意識を持っていられた。

しかし昴の方は、さっきからまったく動かないからたぶん気絶してるだろう。

ということは今は自分が、彼の最後の命綱だ。


皮肉だな、と水谷は内心で自分をせせら笑う。
彼を傷つけ、最悪の場合殺そうとした自分が、今は彼を生かすために動いてる。