「昴ッ!」


水谷は船が完全に沈む前に、とっさに昴の腕を掴んだ。

元運動部の力を発揮させ、船から飛び降りる。


バシャンと背中に水が叩きつけられ水谷はぐぅと痛みにうめいた。

口元と耳に海水が入る。

濁った海水のなかでは右も左もわからない有り様だ。

体が波に揺られ、満足に動くことさえままならない。