「みずた」 「昴」 雨の音や波の音が遠くに聞こえた。 今この空間に、この世界に彼ら二人しかいないようにすべての音が遮断される。 「お前が、結海の代わりに死ねばよかったんだ」 「ッ!!!」 ガツンッと後頭部を鈍器で殴られたような衝撃が襲う。 自然と水谷の腕をつかむ力が緩んだ。 なのに水谷は、それでいいんだと言いたげに笑う。 昴は頭の奥が急激に冷えていくのを感じた。 自分でも気づかないうちに、口元が緩む。 水谷はそんなどこか壊れてしまってる昴を不思議なものを見るような目で見ている。