デッキに集まってる乗客はみな、混乱と恐怖に満ちた表情をしていた。 突然船が横転し、乗客は困惑したまま集まってきたのだ。 もはや船幽霊どうのこうの等関係なく、船の信頼はがた落ちだろう。 大型救命ボートに次々と乗客が乗り込んでいく。 前に座っているのは、きっと客の中でも上客の部類に入る人たちだろう。 慌てる乗客たちを尻目に、想汰はキョロキョロと辺りを見回す。