その時、船内のスピーカーが鳴った。 『ご乗客の皆様、速やかに二番デッキにお集まりください。 繰り返します。 ご乗客の皆様は、速やかに二番デッキにお集まりください』 すっかり蒼白になった亜希子の姿を腕をつかみ、昴は珍しく強い口調で言った。 「行こう」