倉庫内には水が流れていた。 木箱の裏から少量の、しかし確かに船内に水が入っていた。 その薄暗い、水が流れる音だけが響く部屋に、水谷は一人佇んでいる。 「………」 いつも明るい表情を崩さない彼にしては珍しく、無表情で部屋が浸水する様子をただ眺めていた。 「いいのか?」 「っ」 背後からの声に、水谷は一瞬震え、しかしすぐ納得したようにはぁ…とため息を吐いた。