険しい表情をする昴を、亜紀子は不思議そうに見上げた。 「さっきは右に傾いた。次も右に。そして今も若干右に傾いている」 「そ…うですね……」 昴はチラッと亜紀子を見やった。 今から言う言葉は彼女をもっと怯えさせてしまうかもしれない。 それでも昴は、仮説を真実に証明するためにあくまで淡々と言葉を紡いだ。 「この船は、沈みかけてるかもしれない」