そう言って歩き出すと同時に、再び船が傾きだした。 「……ッ」 さっきより傾きが大きい。 昴は壁に手をあて横転しないようバランスをとった。 亜紀子は転ばないように必死に踏ん張っていたが、見るに耐えなくなった昴に腕をつかまれ支えられる。 しばらくすると、ゆっくりと船体が元の体勢に戻る。 「……おかしい」 「え?」