「安部さんは、何をしてたの?」 「ええ…会長が昼食の時いなかったから、探しに来たんです」 「ああ、だからオレの部屋の方向から来たんだね」 亜紀子はこくこくと髪を揺らしながらうなずいた。 それにしても…と昴は顎に手をあて思考する。 水谷が昼食の時間に現れなかった。 あの、この船旅を誰より楽しみにしてたあの男が。 「トイレ…かな」