俺と君の現実論



彼女に会いたいという気持ちが溢れてくる。
いっぱい甘えたいし甘えられたい。

…いや、彼女は攻めに徹した女性だからきっと、また俺が求めるしかないんだろうけど。

軽く自尊心が傷ついたが、ようやっと彼女の姿が見えるくらいに滑り降りてきてことに気づき、自然と顔がほころぶ。

しかし、すぐに全身が貫かれたような衝撃が走った。


ハルキが、他の男と、話している。


「はる…?」


裏切られたような気分だ。



害虫に許可なく触れられて、しかも腕まで組まれた。鼻についた甘ったるい声は吐き気しかしなくて。

早くハルキに会いたいと、そう、思ってた矢先。

ハルキが他の奴と目を合わせて会話をしていて体に触れられて笑いかけられてなんだか少し慣れなれしいくせに彼女もそれを受け入れていれ満更でもなさそうであれ俺以外ともフツーに話すんだとか思ってそっかハルキにとって俺は別に『特別』なんかじゃなくて他の害虫と同じ価値でだからきっとそう一緒にスキーも滑ってくれなくてああそっかなるほど。

俺だけか。浮かれていたのは。


俺だけなのか。
これほど君を愛していたのは。