キケンなアイツとの生活

優ちゃんと黙って見ていると、わたしに気づいた冬弥さんがヒラヒラと手を振る。


「ゲ。見つかった…」
「愛梨!顔、引き攣ってる!」


そりゃあ、引き攣りもしますよ…。わたしはひっそりと帰りたいのに、あんな大きな声で名前呼んで、手まで振ってきて。


ほら、今度は先輩たちにまで見られてんじゃん。これで、わたしイジメにでもあったら、どうしてくれんのよ。


「優ちゃん……」
「ん?」
「わたし………走るっ!!」
「えっ?!愛梨?!」


やっぱり一緒に帰るとか、無理っ!!


オンナの子たちに囲まれてる冬弥さんを無視して、わたしは全力で走った。


「ちょっと、待った」


捕まることは分かってた。分かってたけど、逃げたかった。


「なんで逃げるの」