わたしのじゃないってことは、冬弥さんのってことだよね…？


チラリと見上げれば、案の定、冬弥さんはスーツのポケットからスマホを取り出すと、眉を一瞬ピクリと動かした。


そして、そのまま片手で操作をすると、耳にあてる。


「どうしたのー？」
『あ、冬弥ぁ？ねぇ、今から…ダメ？』


静かな場所だから、相手の女性の声がハッキリと聞こえる。


「こんな真っ昼間から…。ナミもエッチだね」


クスッと笑うその声に、わたしの心臓がドクンと跳ね上がる。


これはきっと、聞いちゃいけない会話だ…。この人から離れなきゃ、って思うのに、足が思うように動いてくれない。


『だってぇ、冬弥のこと考えてたらシたくなっちゃったんだもんっ』


シ…シたくなる…っていうのは、つまり…そういう、こと…？