いつか〝スキ〟って言いたかったのに、告白する前に振られてしまった。


はじめて彼女といる蒼甫の幸せそうな顔を見た時は、たくさん泣いたっけ。


次の日、学校も行けなくなるくらい落ち込んだ。


たくさん傷付いた。


それらを思い出して、クチビルを噛みしめてると冬弥さんの大きな手が、わたしの頭の上に、ふわり落ちてきた。


「キミに頼まれなくても、愛梨のことはオレが面倒見るし。ていうか、愛梨のこと〝なんでもわかってます〟みたいなこと言ってるけど、なーんにもわかってないよね、キミ」
「はい…?」


ちょ、ちょっとなにこの会話っ。


蒼甫も驚いたのか、目をパチクリさせたまま。


「キミ、オトコ失格だね」