キケンなアイツとの生活

パンダのキーホルダーが付いた鍵を取り出し、鍵穴に挿し込み回せばカチャリと開く。


ドアを開け、中に入ろうとした時「愛梨!」と、オトコの人の声がして振り返る。


その声は、冬弥さんなんかじゃない。


すぐにわかってしまう、声の正体。


「蒼甫…」


田中蒼甫(たなかそうすけ)


わたしの幼なじみ……そして、わたしのスキな人。


蒼甫の顔を見るだけで、声を聞くだけで、苦しくなる心臓。


「なに、ついに彼氏できたの!お祝いしてやんなきゃなー!」
「……そんなんじゃないってば」
「照れんなってぇ!」
「照れてない、バカ」


もう気安く肩なんて、触れたりしないでよ…。


「パパが再婚するの。その奥さんの連れ子。だからお兄さんになるの」