キケンなアイツとの生活

「あとは包むよ〜」
「難しい…?」
「ううん、そんなことないよ。そんな難しく考えないで。真ん中にタネを置くでしょ?結構のせちゃって大丈夫。あとは四隅をたたむようにして、形を整えれば大丈夫よ」


そっか。なんかもっと難しいと思ってたなぁ。よくほら、人差し指と親指でOKの形にして、そこに嵌めて…って見たことあるけど、べつにお店じゃない普通の家庭料理だから、気にすることないもんね。


「千夏さん」
「んー?」
「ありがとう…すごく楽しい…」
「愛梨ちゃん…」


ホントあんな態度取った自分が恥ずかしい…。こんなに優しい人なのに、嫉妬しちゃうなんて、ひどいことしちゃったよね…。


「はい、じゃあコレは二人が帰って来るちょっと前に蒸そうね」
「あれ、でも冬弥さんの帰りって…」
「大丈夫、さっきメールしといたから」
「そう、なんですか…?」


メールって、どんなメール送ったのかな?千夏さんのメールひとつで帰って来るのかな、冬弥さん…。


すると、千夏さんがとんでもないことを言い出した。


「そう。愛梨ちゃんが冬弥のために、腕によりをかけて作ってるから6時までに帰宅しなければ、全部食べちゃうから!って」
「えぇっ?!ち、千夏さんっ!冬弥さんのためって……」
「あら?冬弥のためじゃないのー?」
「………」


さすがは親子だ…。いじりかたとか、似てる気がする…。


「冬弥さんから、返事きました…?」
「えぇ。知りたい?聞きたい?」
「も、もうっ!千夏さんのイジワル!」