キケンなアイツとの生活

「今日ね、蒼甫ん家、誰もいないんだって……」
「………」
「彼女と、そういうこと、するんだって、思ったら、その場に、いられなかったの……」


冬弥さんは、なにも言葉にしなくて、ただただ、ギュっとさらにチカラを込めて抱きしめてくれた。


「もうっ、狂いそうに、なったの……」
「もういいよ、分かった」
「蒼甫がっ、彼女と!わたしじゃない子と!っ、」
「分かったから、愛梨」


また涙が出てきて、泣きじゃくって、冬弥さんの胸に顔を埋めて、聞き分けがない子供のように振り乱した。


「愛梨…」
「………」


冬弥さんが、わたしを呼んだ。そこ声は、いつものイジワルな声じゃなくて、喉の奥から出たような、悲しい声。その声に、ふと、顔を上げると冬弥さんと目が合った。


「……オレをアイツだと思えばいいよ」
「え?…っ、」


一瞬、なにが起きたのか分からなかった。温かくて、優しくて、でも複雑な温もり。冬弥さんに、キス…されたんだって、離れた時に分かった。


「お風呂、沸いただろ。入ってきなよ、風邪引くよ」
「……うん、」


でも、冬弥さんは、なにごともなかったかのように、わたしをお風呂へ行かせた。