キケンなアイツとの生活

『……ごめん、怒鳴ったりして。母さんから連絡が来たんだよ。すげぇ、心配してたぞ』
「ごめんなさいっ、」
『もういいから。で、どこにいんの?』
「わかんないっ、」
『は?』


そりゃそうだ。冬弥さんが驚くのも無理はない。だって、自分の居場所が分からないなんて、高校生のくせして、バカすぎる。


『愛梨、周りになにもない?』
「周り…?」
『そう、周り。よーく見て』


そう言われて、グルリと周りを見渡すと、公園が遠くに見えた。


「遠くに、公園ある…」
『ん、じゃあ。その公園まで行って。名前書いてあんだろ』
「……うん」


冬弥さんは電話を切ることなく、わたしが公園に着くまで、待っててくれた。もう制服もカバンもびちょびちょだけど、そんなのもうどうでもよかった。


「あった……四つ葉公園…」
『分かった、どっか雨宿りできる遊具見つけて、そこにいろよ、今すぐ行くから』
「え…でも、仕事、」
『今は愛梨が大事』
「っ、」


大事、って言われたことがすごく嬉しかった。ホントは、仕事のほうが大事なはずなのに…。甘えてるわたしはやっぱり、子供だ。


冬弥さんに言われた通り、公園に行くと、わりと大きめな筒状の滑り台があって、そこで雨宿りすることにした。そしてそこで優ちゃんに連絡を入れた。


《冬弥さんから電話きたよ。迎えに来てくれるって。優ちゃん、心配かけてごめんね》