キケンなアイツとの生活

「って、雨っ?!ウソだ!そんなの聞いてないってばー!!」


優ちゃんと別れて、走って数分。ポツポツと降ってきた雨が、傘がないとびしょ濡れになるくらいの雨に変わり、速度を上げて家まで走った。


よし、あともうちょっとで家だ!って時。神様がわたしにイタズラをしてきたんだ。


「ねぇ、蒼甫くん。ホントにいいの?」


目の前にいた、相合傘をしてるカップル。〝蒼甫くん〟なんて呼んでるんだから、すぐにそれが蒼甫と彼女だっていうのが理解できた。


二人は蒼甫の家の前で、会話をしていた。そんな話聞きたくないのに、足が止まって動けない。どうしよう、蒼甫ん家を通らないと家に入れないのに…。


「大丈夫、今、親いないし」


なんとなく、その一言で気付いてしまった…。これから蒼甫たちがすることを…。あ、ヤダ…。想像したくない…したくないのに、蒼甫が彼女にキスをしたり、抱きしめたりするところが勝手に頭ん中で映像化される…。


「いいだろ?」
「もぉ、しょうがないなぁ…。優しくしてね…?」
「もちろん」


あぁぁぁ、誰か助けて…。優ちゃん!…わたしやっぱり、蒼甫が好きなんだよ…!もう、ヤダ…こんなとこに、いたくない。家にも帰りたくない。……そして、わたしは来た道を全力で走って戻った。