キケンなアイツとの生活

ホントに冬弥さんは消してしまった…。わたしの一言で、かんたんに、迷いもなく…。


「なに、今度は消してほしくなかったような顔して」
「そ、そんな顔…してないっ。ただ、ビックリしただけ…」
「ホントに消すと思わなかった?」
「……うん」


だ、だって。少なくとも相手…ナミさんは、冬弥さんのことが好きだったはず。たぶん、だけど…。それをなんの躊躇もなく、消すなんて……。


「それだけ愛梨が大事なの」
「え……」


冬弥さんの言葉に、またわたしは眉をひそめる。どうして、わたしが大事?出会ってまだちょっとなのに、なにが大事なの?……あ、妹としてってことかな。


「悪いけど、オンナの子として大事だと思ってるから」
「えっ?!」


大げさに驚くと、冬弥さんがクスクスと笑う。え、からかわれた…?


「あの日さぁ、食事会の時ね?愛梨のことがすごく可愛く思えちゃって。たくさん我慢してるとことか、そういうの見てたら守ってあげたくなったんだ」
「………」
「でも愛梨は、好きな人がいるでしょ。だから、なんかムシャクシャしてナミとも切れなくて。けど、やっぱり無理だ。愛梨の我慢してる顔見てたら、オレが傍にいてやりたくなる」


好きな、人……。蒼甫のことだよね…。あ、そういえば初めて蒼甫に会った時だよね。ナミさんのところへ行ったのは。


「今はオレのこと好きにならなくていいよ。ただ、オレのことは頼ってほしい」
「………」
「抱きしめていい?」