だけどわたしは


「ううん。なんでもないよ。てか、わたしあなたの名前知らないんだけど」



向こうは、あっ!そうだった、みたいな顔して自己紹介してくれた。


名前は、宮戸 ワタル

と言うらしい。


教えてくれたからわたしも教えた。

そしたらワタルは、


「マリか。よろしく。」



と言ってくれた。


「じゃあ、あたし帰るね」

帰ろうとしたら、腕を引っ張られ、


「お前の泣いてた理由教えてくれるまで返さない」


なんでそんな優しい瞳をしてるの…

そんなこと言われたらまた泣いてしまう…

いつの間にか、わたしはワタルの腕の中で泣いていた。


ワタルは、

「死ぬほど泣け。俺がずっとここにいてやる。」

っていってくれてもっと泣いてしまった。

30分ぐらいたっただろうか…


わたしはもう、泣き止んでいた。


そして、わたしはハヤトのことをすべて話した。


そしたら…

「その失恋は、いつかいい思い出になる。忘れられないなら、忘れなければいい。」

と、優しい言葉をかけてくれた。


わたしはこの言葉は魔法のように思えた。