入学式の次の日から、わたしは屋上にずっといて授業をサボってた。


屋上で、わたしは声を押し殺して泣いていた。

「わっ…たし…ハヤ…ト…わか…れなくな…っい…」


誰にも聞こえないように泣いていた。

何時間泣いたのかもわからない。

何時間ここにいるのかもわからない。


もうずっと泣いていた。


風の空気を存分に吸いたくて、


落ちるか落ちないかわからないくらいのとこに立って風の空気を吸っていた。


「鳥になれたら、いいのになぁ…」

そんなことを考えてたら、後ろから誰かに引っ張られた。


「おっ…まえ、死ぬ気かよ!お前が死んだらみんなが悲しむだろっ!」



あれ…?この人、わたしが死のうとしてと思ったの?


「わたし、死のうとなんかしてないよ」


わたしが言うと、向こうは目を丸くして



「えっ、お前ギリギリのとこ立ってただろ!」

「わたしは風の空気を吸いたかっただけ」


この人が誰かは知らない。だけど、こんな会話してたら自然と笑ってた。



え…わたし笑ってる…?

何ヶ月ぶりだろう…笑ったのは。


この目の前にいる人はわたしの恩人だ。

わたしを救ってくれた。


「そっか。ならいいけど」

不貞腐れた感じで言った。

「てか、お前目腫れてるけど何かあったのか?」


わたしのこと、気付いてくれた。


このとき、わたしはこの人のこと信じても大丈夫。となぜか思ってしまった。