その日の夜。 あまりの疲れで、早くに眠りこけてしまったあたしは知らなかった。 洸が一人寮を抜け出していたなんて。 「……何のようだ、興絽」 「お久しぶりです。去年の冬……以来ですか?」 「何のようだって、聞いてるんだけど」 「……相変わらずですね。まぁ、俺もあなたの顔を長くは見たくないんで、簡潔に済ませようとは思っていますが」