「……遅れまして、申し訳ございませんでした」
「た、橘さん」
あたしが慌てていると、また橘さんが助け舟を出してくれた。
「私橘がその男に捕らわれていたのですが、こちらの桜木様に助けていただいたのです。
そのため、このような無礼な事態になってしまいました」
「まぁ……不審者と……?」
堂々としゃべる橘さんの言葉を、まるで信じていないような目で見てくる先生。
その態度に、ついキレかかったその時。
『緊急放送――――……。
先ほど放送した男が補導されました。
男は意識が朦朧としており、短髪の生徒にやられた、とのことです。
進入原因は、生徒の誘拐、そして身代金の――――……』
間の抜けた電子音とともに、放送が入った。

