広い広い第一体育館。
橘さんと、その後ろのドアから足音を忍ばせて入るも……早速教師に見つかってしまった。
「そこの2名!
式中です、どういうつもりだ!
しかも不審人物がいるということで、先生方があなたたちを探しに行ったのに……!」
女教師の声はやたらと甲高くて、耳の奥が痛痒くなる。
その声で、生徒のほとんどが後ろを振り返ってしまった。
「違います! えと……式に遅れたことは、謝る……りますけどッ……」
あわてて理由を言おうとするも、言葉が続かなくなった。
右を見て、左を見て。
……どうしたら、うまく言える?

