「ちょ、ちょっと待て……! 抵抗しない! 全部話す! だから解放しろ……! ……アズ!!」 辺りを見渡すあたしと床の間で身もだえする男。 そいつがあたしの名前を口にした。 あたしの不信感はより強くなる。 「……! あんた、何者だ!!」 「俺だ! 俺だよ!」 男の上半身を少し放し、顔を見る。 女顔のその顔は、確かにどこかで見覚えが……? 「……俺だ。 俺が、洸だ」