「アズ様、雑誌お借りします。
買い物付き合っていただいたお礼に、これくらいさせてくださいね」
そう言って沙織は会計のほうに行ってしまった。
そんな沙織に甘えて、本屋の外に出る。
そして、本屋の右斜め前。
そこのスペースが空だった事に気づく。
何の店がオープンするんだろう、と思ったとき、左から何やら人ごみが押し寄せてきた。
その先頭に、一人の男性、そして彼を護るように立つスーツ姿の人たち。
「……へぇ、ここ? 中心支部」
「えぇそうです。……でも、そろそろお戻りください!
次期社長自ら視察だなんて……!」
「大丈夫、ここ俺の故郷だし」