妙な数式で埋め尽くしたノートを閉じて、気晴らしにテレビのスイッチを入れる。


こんな深夜なんだ、やっていたのはテレフォンショッピング。


それをぼんやりと見ていたら、気がついたらうとうととまどろんでいた。





『……こんにちは』


『え、あ、こんばんはなんですか。
 そっか、深夜枠でしか放送されないほど俺知名度低いですもんね』


『いやいや、僻みじゃなくて。ジョークジョーク』




なんか聞きなれた声が聞こえた気がして、目を開ける。


それともこれは夢だろうか。




『それでは、驚くべき速度で成長を遂げ、なんと一年半であの"巨匠"のもとをスピード卒業。
 フランスで光を浴び始めてる、如月紺さんです』


『こんにちは。如月です』





テレビの中に、紺がいるなんて。