「……何が最後にもうひとつ、だよ。
 たっぷり書いてんじゃないか、ばかぁ……!」



せっかく止まった涙が後から後から流れてくる。


嗚咽すら漏れない。



ただ、最後になるかもしれない紺の字を濡らさないように必死だった。



「……低血圧変態性悪野郎……!」



どれだけ罵っても、言葉が返ってこない。


静かな静かな部屋の中。



バンと音をたて立ち上がって、ベッドに仰向けになる。



……止まれ、涙。


紺は前に進んでるんだ。


あたしがこんなんでどうするんだ。



「止まれェ……ッ!!!」