「俺、もう行くね。これ以上アズの顔見てたら……本当に行きたくなくなる」 「……うん、分かった」 くるり、と紺に背を向けて目を閉じる。 紺が何のためにフランスに行くのかなんて知らない。 だけど……紺が歩き出してるのは確かだ。 ……毎日、一緒に生活してたんだ。 「……アズ」 ……一瞬唇に感じる、柔らかいもの。 それはすぐになくなって、目を開けたら、ただの人ごみ。 紺の姿はどこにもなかった。