「……アズ」 紺の目が大きく見開かれる。 その目が揺れて見えるのは、あたしの視界が滲んでいるからなのか。 そして、大きな鞄が音を立てて落下した。 「ばかアズ……! なんでそんなこと、今言うんだよ……!」 「今……気づいたんだもん」 そして再び電子音が流れる。 さっきより短い英語も。 「ばか……行きたくなくなった」 「じゃあ……行かないで」 「……それもできない」 あたし、本当にばかでわがまま女。 自覚してるんだよ、だけど……。