「……紺」 さっきまであたしが独占していた場所にはもう大きな鞄が居座っている。 あんたにかまってる暇はないの、とでも言い出しそう。 「じゃあアズ……俺」 ……続きを聞きたくない。 「……大好きだよ、紺」 紺が続きを言わないように。 あたしの言い残したことが、全部言えるように。 あたしは泣きながら言った。 「あたしは紺が好きなんだよ」 それと同時に、自分の気持ちに気づけた。 「好き……なんだ」