「……本当なの?」 「え……?」 「……移住!」 紺の胸に顔をうずめたまま、くぐもった声で問いかける。 ……しかもあたし、怒ってるんだ。 「うん……ごめん」 紺の返事を聞いて……また涙が溢れる。 だんだん苦しくなってきた。 その時、何やら電子音が鳴って、機械的な英語が流れる。 「俺……もう行かないと」 「……待ってよ紺! あたしまだ……」 あたしまだ、伝えたいことが山ほどあるんだ。 なのに紺は、簡単に腕を解いてしまう。