「どうしたの? アズ。
 寮生活がそんなに楽しみ?」


あたしのちょうど背中側にいた洸が、軽く笑いながら聞いてきた。



「ううん。違うよ」


あたしは彼女に背を向けたまま答える。




「もう、すっごい楽しいんだ!!」




「……アズってば」




背を向けても、あたしが今笑っていることが洸に伝わるように、見なくても今洸が微笑んでいることが分かった。


それがすっごい嬉しくて、畳んでいた服を意味もなく広げて、抱きしめてしまう。



気をつけないと、鼻歌でも歌ってしまいそう……。