息を切らした興絽さんが、そこに立っていた。
「ど……どうなさったんですか!?」
「……ごめん!!!」
近寄ると、ばっと頭を下げる興絽さん。
「ちょ……興絽さん!? 一体……」
「紺さん、ごめん。俺約束守れねェ」
小さく呟いて、また勢いよく頭を上げる。
……こんなに取り乱してどうしたんだろう。
「……俺についてきて、梓ちゃん」
「え、何……」
「紺さんに口止めされてたんだけど……!
……実際、言わないどこうと思ってたんだけど……!
言わないと、俺も紺さんも梓ちゃんも……絶対後悔する」
膝に手をついて、息を整える興絽さん。
「紺さんはもう、帰ってこない」

