「え、ねぇ、こ……!」 「アズ様! おはようございます。 どうかなさいました?」 紺、と呼んでしまいそうになったとき、沙織に声をかけられた。 ……部屋じゃないんだ、ここは。 気をつけないと……。 「……ううん、何でもない。 学校行くの?」 「はい! ご一緒しませんか?」 「うん……そうだね」 この嫌な予感が気のせいだといいけど。 閉ざされたドアをもう一度見て、歩き出した。 その中で、紺が何を思ってるのかも知らずに。 「自分で決めたことだろ、紺……! 揺らぐな、俺……」