「……ッ! 紺……」 思わず左目を手で覆う。 それで気づいた、あたしが放されていたことに。 「ごめんごめん! ほら、行っといで迷宮喫茶」 目の前に、無邪気に笑う紺。 「でも、だって紺が……!」 「ごめんってー。ホラ、行った行った!」 鞄を拾って、背中を押す紺。 不意にその顔が、あたしが好きだと伝えたときとリンクして見えた。 「ねぇ紺……!」 「……ありがとう。 そう呼んでくれて、嬉しかった」 そして、本当にやさしく笑ったかと思ったら、パタリとドアを閉められた。