「それじゃあ……そろそろ出ようか」
「えぇっ、もうかよ!」
「お茶はしたんだ。混雑してんだから、居座ったら迷惑だろ」
数十分で、興絽さんがそう切り出した。
その間、アリスは独り占めされていた。
「じゃあ、アリスさん、お会計を」
「あー……いえ、結構です。
この間、払わせちゃったので。私出しておきますよ。
……王子様ー、主人公様方が帰られるよ」
「あ、はーい」
紺に呼ばれ、隣の女の子たちと接待していたあたしは少し断ってその場を抜けた。
「じゃあ、もう少し学園を見て回りますね。
……それじゃあ」
「あ、はい! 機会があればまた、絵本の世界へ」
王子様らしく、とレクチャーされたお辞儀をすると、興絽さんが本当に小さな声で、呟いた。
「……お元気で、紺さん」

