「なかなか盛況だね」
「そりゃあ、こんな素敵な王子様がいらっしゃるんですから!」
その言葉に、顔をしかめる。
よくある、白馬に乗った……みたいなイメージじゃなかったからまだよかったけれど……。
白いブラウスに、グレーの燕尾型のジャケット。
エンブレムに、細身のスラックス。
そしてとどめに、真っ白なマント。
……動きづらいったらありゃしない。
「そうかぁ? 可愛いアリスのおかげじゃないの?」
中で接待している紺を横目に言う。
紺は、本気でアリス。
同じ白ブラウスでもフリルたっぷりで、青のエプロンドレスが可愛さを同調。
白黒ボーダーと共に伸びる長くて細い足は、とても男のものとは思えない。
「お待たせしました、『赤ずきん入り狼肉のソテー』です」
天使の笑顔から出る、なかなかパンチの効いたメニュー名。
……あれ、頼む人いたんだ。