「それで……頼めるか?」 「……いいんですか? 俺は梓ちゃんを奪うかもしれないのに」 「……アズは俺をルームメイトとしてしか見てねェよ。 それにもう……決めたんだ」 「……言うと思った」 「面目ねェ……」 秋を感じさせる、少し冷たい風が吹いた。 「……アズを、頼む」 少し震えた声。 だけどそれから興絽さんは、何かを受け取ったように頷いた。