「え、ちょ……!」 くるりとあたしに背を向けて、丘から離れていく。 その背中がなんだか……遠くへ行ってしまう気がした。 「……ッ!! ……紺!!!!」 ……行かないで。 気がついたら、そう叫んでいた。 ゆっくりと振り返った紺は、驚いた顔をしていて。 そして、見たこともないような穏やかな笑みを浮かべた。 「……それで、十分だよアズ。 ……ありがとう」 彼の目はまた、弱々しかった。