「……ごめん」 少し高い丘に着いて、洸に手を放される。 腕が少し熱かった。 「どうしたんだよ……洸?」 「洸じゃねェ!!」 いつも通り、呼んだ名前。 だけど初めて聞く洸の怒声に驚いた。 「あ、ごめん……」 そんなあたしを見て、洸が情けない顔をして謝る。 「俺……わかった。 ようやく……わかったんだ」 少しだけ傾いている太陽。 その日差しがまぶしくて、洸の表情が読み取れない。 「……わかった、って……?」 風が下から吹いてくる。 洸が静かにカツラをとった。